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一部の人からラジオくんと呼ばれています。

古くて新しいメディア

開局まで1週間を切って、どこからどこまでが1日なのかわからない生活になっております。いまこれを書いてる24日夜時点で開局まであと133時間ほど。

 

これまでのことをふりかえってるような余裕は正直ないんですけど、「ラジオは古いメディア」という声をちらほら聞いた気がするので、そのへんのことをちょっと書いとこうと思いました。

 

コミュニティ放送をやろうということになって、いよいよ放送免許申請というタイミングで、東京に行く仕事があったのでついでに愛宕山にあるNHK放送博物館に行ったんですね。

 

ここは前々から一度行かねば、と思っていたところです。放送に関わる人はもちろん、メディア論とかメディア史とかに興味ある人は行っといたほうがいいですよマジで。

 

日本でラジオ放送が始まったのは大正14年、テレビは昭和28年です。数字がちょうど倍なので覚えやすいですね。はいここテスト出るよー。

 

大正14年当時に使われていたマイクとか展示してあります。リアリティがヤバイです。

 

あと驚いたのは当初ラジオは受信したい人が申し込んで有料で聞くものだった歴史とか。いま動画コンテンツを中心にオンデマンド放送が新しいサービスかのように出てきてますけど、大正時代の歴史の始まりにはオンデマンドがあったんですわ。

 

さらに、大正14年から始まったラジオ放送ですが、15年だか16年だかには音効装置とか作っちゃってラジオドラマをやってるんです。

 

なにが言いたいかと言うと、88年もの歴史を持つラジオではラジオドラマしかりオンデマンドしかり、メディアとしての実験はやり尽くされてるんですよね。その間に玉音放送もあったし、大震災もありました。

 

ラジオというメディアの強さは、ひとつにはこの歴史の長さにあると思います。

 

あるメディアはそれ単体で存在しているわけではなく、人々の生活の中に他のメディアと共存する形でメディア環境を形成しています。

 

メディア環境を構成する他のメディアの状況が変わると、メディアは役割も価値もかわってゆく。互いに他を構成しあっている関係(=再帰性、これ便利な言葉ですねテスト出るよー)にあるといえます。

 

広告費ベースでインターネットに抜かれたのが2004年ぐらいで、マス4媒体の中では最もヤバイなんて言われてたこともありました。

 

特にネットの世界の変化が目覚しいし、それに呼応するようにテレビや紙媒体も次々新しい試みを行うので、メディア環境は刻々と変化する時代になりました。

 

個々のメディアのありかたも、メディア環境の変化にあわせてゆく必要がある、というのはひとつの真実であると思います。

 

同時に、88年もの間「音声のみメディア」であったのは、唯一ラジオだけです。耳から触れるメディアということは、併用できるという観点からは他のメディア環境にスムーズに馴染むんですね。それがカーステレオから聞こえてくるか、PCやスマホから聞こえてくるかの違いはあれど。

コミュニティ放送が制度化されたのは1992年ですが、メディアのサイズが変わったということはメディア環境が変わったということでもあります。

 

コミュニティそれ自体のあり方の変化も、メディア環境の変化と呼応する要素です。

 

確かにラジオは古いメディアで、それゆえに様々な実験はやり尽くされていて、環境の変化は目覚しく、それゆえにメディア環境に合わせた新しい組み合わせがたくさん出来るようになった。

 

コミュニティ放送というのは、こういう「古くて新しいメディア」なんだと思っています。

 

これを書いてるうちにあと132時間ほどになりました。

薩摩川内市のみなさん、もしかすると我々は、みなさんの知っている「ラジオ」とは違うものをやろうとしているのかもしれません。それゆえのご批判も頂くかもしれません。ですが、いまの時代の、このエリアのメディア環境だったらこういうことのはず、という確信を持って私たちは新しい放送局を作っています。


開局日の3月2日まであとほんの少し。これからどうぞよろしくお願いします。